和装を綺麗に魅せる為に必要な「振り付け」とは??
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先日のブログでアップさせて頂いた、オーストラリアにお住まいのご夫妻の和装撮影ですが、実はある売れっ子カメラマンさんが僕の撮影を見学に来ていました。
そのカメラマンさんの撮影はとても素敵で、僕も彼のテイストは大好きですし、経験も豊富にある方です。
しかし、和装に関しては不安な部分も多いようで、より自分のスキルを上げる為に見学をしたいとの事でした。
「和装=北井さん」だと思った!と言って頂けた事は、僕にとってもとても嬉しい事です。
さて、そこで今回のテーマになるのが、「和装を綺麗に魅せる為にはどうしたらいいのか?」です。
もちろんいくつか方法はありますが、やはり一番ミソになるのが、「振り付け」です。
では「振り付け」とは何か??
簡単に説明すると、先人達が着物の柄や形を最大限綺麗に、美しく魅せる為に編み出した技!です。
和装には婚礼衣装に限らず、少なからず決まり事があります。
例えば、本人から見て左側のお着物が上前(上)にきてなければならない。とか。
(逆ですと仏様を送り出すときのお衣裳になってしまいます)
もちろん、着物の着方やデザインなどはどんどん進化していますが、最低限のルールと決まり事を知った上で「はずしている」のと、知らないで「そうなってしまった」では意味合いも、仕上がりも全然変わってきます。
そして、最近SNSなどで見られる婚礼和装写真も「そうなってしまった写真」の傾向が多く見られます。
カメラマンとは資格などがない職業なので、カメラさえあれば誰でも「カメラマン」になれてしまいます。
特にここ数年でフリーランスのカメラマンは爆発的に増えました。
(僕もその一人ですが(^-^;)
しかしそんな中、和装の撮影はできない。
もしくは、和装の撮影はなるべく受けたくない。というカメラマンの声も多くあります。
それはやはり、和装の知識がない。
そして、和装を綺麗に魅せる自信がない(術を知らない)事が原因です。
そんな状態で和装撮影をすれば確かに『そうなってしまった写真』に仕上がってしまいます。
また、新郎新婦は衣裳合わせに多くの時間を費やします。
新婦1人で20着~30着試着される方も少なくないようです。
つまり、それだけお衣裳に力を入れている方が多いという事です。
そんな、何時間も、何日も力を注いで決めたお衣裳なので、やはり綺麗に残してあげたい。
特に結婚式というハレの日には!
それが全てだと思います。
和装の振り付けは、1日、2日で習得できる技ではありません。
新郎新婦は人形のように毎回同じではないですし、身長も体形もそれぞれ違います。
ですので、何度も何度も反復練習して、少しずつその技を体に染み込ませていくのです。
では、「振り付け」がなされている写真とはどんなものでしょうか??
実際に先月撮影した写真の中からご紹介致します。
白無垢や色打掛などの和装をお考えの方、そして、和装が少し苦手だなぁと感じているカメラマンの方、是非何かの参考にしてみて下さい(^^)
【新郎立ち姿】
紋の見え方、袖の立ち方、足の開き方、などポイントは様々です。
【新婦後ろ姿】
スタジオでの和装撮影で最も人気のある一枚です。
髪飾りや、お着物の柄などを考慮して「右向きor左向き」を決定します。
この振り付けのポイントは着物の絞りです。
目線を変えるだけで雰囲気がガラッと変わります。
目線を下に落とすと柔らかさ、上にあげると凛々しいイメージになります。
【立ち姿】
基本的な振り付けです。
白無垢ではご新婦様は座り、色打掛では立ちで撮影する事が多いです。
理由は沢山ありますが、色打掛は柄が豊富なので、立ち姿でなるべく多くの柄が見えるように撮る。というのも一つの理由です。
ここで大事な事は、新婦の掛下と打掛が同じ場所(1点)から広がっていっている事です。
また、お着物の柄に合わせて作り方も変わってきます。
見えない部分で、4箇所~5箇所くらいお着物を止めてカタチを作っています。
末広がりは和装振り付けの基本です。
この振り付けができれば、ロケーションでもスタジオでも、どんな環境でも対応する事ができます。
【座り姿】
立ち姿から、座り姿になるだけで、ご新婦様の印象が変わります。
通常は白無垢のお衣裳の際に撮影される事が多い振り付けです。
一説では、「新婦はおしとやかである事」を表している。と言われています。
また、白無垢の際には綿帽子をお召しになる方が多いので、座る事によって新郎との身長差を目立たなくする効果もあります。
立ち姿と同じく、1点から掛下と打掛が広がっている事が大事です。
【座り正面】
最近では人気のある振り付けです。
正面向きの難しいところは、紋の高さ、着物の開き、左右が対象になるようにする事です。
また、新郎新婦の距離感が近すぎると、詰まった感じになってしまうので要注意です。
【新婦座り半身】
座り姿からの応用で新婦一人を撮る事によって、そのままの振り付けでバリエーション豊かに撮る事ができます。
目線、末広(扇子)の位置、ライティングなどでさらに変化を付けるもの良いでしょう。
《応用編》
同じような振り付け、ポージングでも、ライティングや小物でその雰囲気をガラッと変える事ができます。
(ちなみにこの写真は、上の写真達と全て同じ場所で撮影しています。)
スタジオなどの限られたスペースの場合、いかに多くのバリエーションを残す事ができるか?
この事はとても大事な事だと思っています。
表情、ライティング、ポージング、小物の使い方、ロケーション、…様々な要素で写真は美しくなります。
振り付けもまた、新郎新婦やお衣裳を美しく見せる為の1つの手段でしかありません。
しかし、この要素は和装では欠かせない要素であると僕は思います。
少なくとも、『できないよりは、できた方が良い!』これは間違いないです。
先人達が残してくれた素晴らしき技を、自分の技の一つとして身につける事は、お客様への美しい写真のご提供にも繋がります。
これからも日々勉強を続けて、婚礼写真ならではの美しいお写真をご提供していきます。
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